電波法第59条の解釈と解説


まずは電波法第59条の条文を見てみましょう

電波法第五十九条(秘密の保護)

何人も法律に別段の定めがある場合を除くほか、特定の相手方に対して行われる無線通信
(電気通信事業法第四条第一項 又は第百六十四条第二項 の通信であるものを除く。第百九条
並びに第百九条の二第二項及び第三項において同じ。)を傍受してその存在若しくは内容を漏らし
又はこれを窃用してはならない。

分かりにくい言葉がいっぱいですねぇ・・・

では、各言葉の意味を説明しましょう。

特定の相手方に対して行われる無線通信
特定であるので、送信者も受信者も固定された通信のこと。つまり、ラジオやテレビなどのように不特定多数の相手方に放送形式で行われる通信は含まない。
電気通信事業法〜(中略)〜を除く
これは、電気通信事業法にも同様の規定があるため、重ならないようにしただけのもの。
傍受
これは受信することを意味するのであるが、ただ単に受信するのでなく積極的意思をもって受信することを示している。つまり、積極的意欲を持って受信しない限りは傍受にはあたらない。
存在
どこでどのような形式の通信が行われているかという事。あくまでもこれは傍受によって知り得たものの話であり、その他の方法(傍受以外の受信や雑誌・インターネット等)で
入手した周波数情報などはこの条文の意図するものではない。
内容
これは、そのままである。通信の内容で、どのような内容を話したり伝送していたかという事.
漏らす
他人に意識的積極的に話すこと。その他、この「漏らす」には他人が容易に知りうる状況にすることも含むという説もある。
窃用
受信した内容を自分や他人の利益の為に利用する事。

では、この条文を我々に都合良くどう解釈するか?

まず、傍受した段階でこの違反になるのか?
この件に関しては、法律的にはグレーである。傍受したことが公共の福祉に反するというわけでもなく、その段階での立件は難しい。また、上記の説明にもあるように「傍受」というのは
「積極的意欲」をもって受信することであり、積極性の有無は人間の内面的なものの為、根本的に受信行為自身が傍受に当てはまる物であったかどうかの判断は極めて難しい。
今現在ではこの内容に関する判例はないようだ。つまり、「たまたま」聞いてしまったというものであれば、傍受にあたらない為、根本的に問題がないものと解釈できる。
では、漏らしたり窃用したりしないためには?
傍受の際、イヤホン等を着用し(法律的な絡みを除いても、イヤホン等で聞いたほうが明らかに聞きやすいよ (^^;)、聞いた内容は一切他人に「〜って○○さんとの電話で言っていたよ」
などという感じでは間違っても話したりせず、一人でコソコソ・ニヤニヤしているのがよい!?
つまり・・・
とりあえず現段階ではこの条文は「電波として流れてきているものは、すべて受信してもかまわない。ただ、その内容を漏らしたり利益になるように使ったりしないように」と解釈することも
十分可能な訳で、受信を条件付で合法化した名文だとも考えられる。

もし違反するとどうなるのか?

ちゃんと罰則規定はあります。あまり重要じゃないけど、見てみましょう。

電波法第百九条

無線局の取扱中に係る無線通信の秘密を漏らし、又は窃用した者は、一年以下の
懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

2  無線通信の業務に従事する者がその業務に関し知り得た前項の秘密を漏らし、
又は窃用したときは、二年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

厳しいですねぇ・・・
特に無線通信の業務に従事する者に対しては一般の倍の罰則になってます。
受信にいそしむだけだったら、無線従事者にならないのが得策でしょう。


ひとこと

この電波法第59条に関しては無線従事者免許証や無線局免許状にものるほど、重要な
条文です。第4級アマチュア無線技士を含め、無線従事者の法規の試験では極めて出題
される可能性が高い条文です。もし、無線従事者の試験を受けようとされる方は、私の勝手
な解釈はどうでもいいのですが、条文そのものに関しては非常に重要なので覚えておきま
しょう。なお、罰則規定に関しては上級資格以外では覚えておく必要はないと思います。

ちなみに、電気通信事業法にも上述のとおり同様の規定があります。傍受する対象が
電気通信事業法にも係るものの場合や電気通信事業に携わっている人はそちらにも
気をつける必要があります。電気通信事業法では「退職後も秘密を守れ!」まで書いて
あったりします。


参考資料等

このページを作成するにあたって、私が受講していた大阪大学工学部電気系学科
(現、大阪大学工学部電子情報工学科)の「国内電波法規」の授業内容を大きく
参考にいたしました。


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